皆さん、おはこんにちこんばんは!ノーブンです。
皆さんはどこから生まれて、どこに行くのか?そんな自分のルーツに思いを馳せることはありますか。
どこかの誰かから教えられたダーウィンの進化論、それが本当に私たちの辿ってきた道なのでしょうか。実際に目撃した人がいない以上、教えられてきた人類の歴史というのは、実は信頼性の高い推理の一つでしかないのです。
今回ご紹介するSF小説の大傑作『星を継ぐもの』(創元SF文庫 ジェイムズ・P・ホーガン (著), 池 央耿 (翻訳)) を読み終えた後には、皆さんは難解な推理小説を読み終えたときのような謎解きの爽快感と、足元がふわふわとするような心細さを同時に感じることになるでしょう。
それは、自分たちの常識が崩される時の喪失感です。
しかし、常識が崩されたことで、読者の胸を満たすのはは心細さだけではありません。それ以上に読者の心を震わすのは、新たな可能性を見出した時の喜びであり、高揚感、そう「発見」の喜びです。
傑作と言われる小説とは新しい価値観を与えるものだと私は思っています。その意味でも、この『星を継ぐもの』は紛れもない傑作です。
読後には美しい星々を眺めながら自分たちの遠い過去のこと、あるいは遠い未来のことをあれこれ考えてみてはいかがでしょうか。
目次
【作品の時代背景】
この作品が書かれたのは1980年です。1980年とは1969年にアポロ11号が月面着陸を成功させて、1975年に米ソ共同での宇宙計画がなされて、宇宙開発競争が終結した後の時代になります。
この時代の人々は、これから世界中の技術者たちが手に手を取り合って、未知なる宇宙をドンドンと狭くしていくにちがいないと考えていたことでしょう。
ところが、1980年代前半から再び冷戦は激化していくことになります。
『星を継ぐもの』の世界観では人類は木星にまで基地を建造しており、21世紀の世界よりも発達した宇宙工学を持つ世界観が舞台となります。
【月面で発見された5万年前の死体】【謎が謎を呼ぶストーリー】
この『星を継ぐもの』のストーリーは現代を生きる科学者たちが、過去から与えられた謎に対して様々な角度から観察し、仮説と検証を繰り返しながら真実へと迫っていくものになります。
科学者たちに与えられた最初にして最大の謎が月面で発見された宇宙服を着た男の死体です。検証の結果、「チャーリー」と名付けられたこの男の死体は5万年前のものだと言うことが分かります。
何故、その時代に宇宙へと飛び出すほどのテクノロジーを持った人間がいたのか。一体彼は何者なのか。現生人類とのつながりはあるのか。更に、物語が進む中で木星の衛星ガニメデでは地球の物ではない宇宙船が発見される・・・。
1つの厳然たる事実が判明すると、そこから更に発生する謎。登場人物たちの人間関係やドラマ性に満ちたエピソードではなく、客観的に判明する事実の羅列と科学者たちの仮定と検証にページの大部分は費やされますが、その物言わぬ事実の積み重ねがこんなにも胸を熱くさせるのかと読者は感じるはずです。
【SF好きなら必ず読むべき作品】【星を継ぐものー総評】
壮大なスケールの謎と緻密に張り巡らされた伏線、読者を納得させるに充分な世界観とそれを裏付ける科学的な根拠の積み重ね。1980年に書かれた作品とは到底考えられないほどの質と説得力、そしてロマンを持った正にSFの金字塔と言うべき作品だと私は思います。
まずは、とにかく読んでください!続編もあります!
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タイトル(和名):『星を継ぐもの』
出版社 : 創元SF文庫
作者 : ジェイムズ・P・ホーガン
訳者 : 池 央耿
総評 : ★★★★★
┗ ストーリー : ★★★★★
┗ キャラクター: ★★★☆☆
┗ ミステリー性: ★★★★★
┗ ドラマ性 : ★★★★☆
┗ 読後の爽快感: ★★★★★
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